子どもとつくる楽しい国語・文学の授業

kokugo

2013年度前期の国語科教育法

第1回 4月9日

 ○スピーチ「円安株高」
 ○「春は、いつまでですか?」(対話によることばの授業)
 ○国語科授業とは、ことばの授業である。
 ○「近江」から連想する「ことば」を書き出す。
 ○さくらももこ「きもち」(1年生、三省堂)を視写する。

第2回 4月16日

 ○教員のスピーチ「春は、いつまで?」「映画化された本『舟を編む』を読むこと」
 ○学生のスピーチ(1)
 ○書写のこと❶:「ひらがな」のこと(ひらがなは漢字の草書から。カタカナは漢字 の一部)。姿勢、筆記用具(鉛筆と筆ペン)のこと。プリント資料。
 ○1年生の授業:「きもち」(詩)をセンテンスのまとまりで音読する。

第3回 4月23日

 ○教員のスピーチ
 ○学生のスピーチ(2)
 ○書写のこと❷:「あ(安)い(以)う(宇)え(衣)お(於)」(プリント)
 ○教材研究のポイント(勘所) その教材の構造をとらえる。
「きもち」の詩の構造:「やさしい」「こわい」と「さみしい」「うれしい」
 *「やさしい」先生かな、「こわい」先生かな?
  友だちができないと、「さみしい」。
  友だちができると、「うれしい」。この詩は、子どもたちの学校生活の「きもち」に寄り添った詩である。
  → 詩の構造をとらえることは、暗唱につながる。
 ○1年生の授業:「おおきなかぶ」と「サラダでげんき」(物語)を、「○○が~~(する)話」としてその概要を把握する。それが、読むことの授業の軸となる。

第4回 4月30日

 ○教員のスピーチ「夏も近づく(八十八夜と立夏のこと)」
 ○学生のスピーチ(3)
 ○書写のこと❸「な(奈)」「に(仁)」「ぬ(奴)」「ね(祢)」「の(乃)」
  *「の」の書き方、運筆について指摘する。
 ○1年生の授業:絵本を読むこと
*教材の勘所(どういう話として読むのか)の復習もかねて、『サラダでげんき』を絵本で読みなおす。で絵本で本は、「表紙(裏表 紙)」と「扉」と「見返しの本文」と「奥付」からなる。「表紙」から、そのお話を「○○が~~(する)話」として予測する。その題材として『どうぞのいす』(森山京)と『キャベツくん』(長新太)をとりあげる。『サラダでげんき』に力を入れすぎて、2年生の授業「たんぽぽのちえ」(説明文)に入れなかった。

第5回 5月7日

 ○教員のスピーチ「この花の名前は?(桐の花は夏の標)」
  *資料やフリップをつかって、説明することの実践。
 ○学生のスピーチ(4)
 ○書写のこと❹:説明文「まめ」(学校図書、1年生)を聴写し、音読する。
 ○2年生の授業:「たんぽぽのちえ」を音読(追従読み:教員の音読のあとに音読する)し、「たんぽぽ」の「ワンダー(wonder)」なところを書き出す。そのあと、「たんぽぽ」は、「~~である。」というふうに記述させる。なお、このとき、前日5月6日にTBS朝日放送で放映されていた「ガラスの地球を救えスペシャル、ワンダー・アース―いま子どもたちにいま伝えたいこと―(http://asahi.co.jp/50th/project429/)」の話題を取り上げる。

第6回 5月14日

 ○教員のスピーチ「大阪検定にチャレンジしよう!」
 ○学生のスピーチ(5)
 ○説明文の授業
 2年生の説明文教材「たんぽぽのちえ」をとりあげ、音読する際のポイントとして、ことばのかかり受けや主述のまとまりに注意して読むこと、また、接続関係のことばは声をさげないできちんと読むことを指摘し、個々人に音読の実践をさせた。
 そのあと、甲斐信枝の『たんぽぽ』と平山和子『たんぽぽ』をとりあげ、「たんぽぽ」がどのようにとらえられているか、「たんぽぽ」は、どのような植物なのか、その事実を知ってもらうようにした。一方的な教材提示となり、「たんぽぽ」のみならず、いろいろな身近な植物(たとえば、「カタバミ(酢漿草)」)なども、それぞれ種を残すための「ちえ(戦略)」をはたらかせていることに気づいてもらうことは、むずかしかったようだ。
 授業の終わりには、授業資料「説明文とその授業」(田中俊弥)を提示し、説明文の授業がめざすものについてふれ、1年生から3年生までの国語教科書所収の説明文教材の題材について言及し、来週は、3年生の「ありの行列」(光村図書)をとりあげ、教材の内容を子どもたちが自分のことばで説明しなおす授業について考えていくことを告知した。
 なお、説明文の授業のことに入る前に、学習指導要領の「書くこと」(5年・6年)の「言語活動例」を参照させ、いまの子どもが取り組むよう求められている活動(詩や短歌や俳句をつくったり、物語や随筆を書くことなど)を教師みずからが実践することが大切であると述べ、その実際として、わたしが作成しているこのHPを提示した。

第7回 5月21日

 ○教員のスピーチ「蜂蜜のねうち」
 ○学生のスピーチ(6)
 ○3年生の説明文の授業
 この授業のレポート課題として、子どものための説明文教材(A4、1000字程度)の作成を提示し、その題材さがしを始めるように指示するとともに、先週に配布した「説明文とその授業を考える」と題した資料を取り出させ、小1から小3の説明文の題材に着目させた。その際、モノ(生きもの、乗りもの、食べもの等々)、モノに焦点化した説明文を今月末をめどに試作するように指示した。
 また、授業としては、3年生の「ありの行列」(光村図書)をとりあげ、一度声に出して通読させたのち、「学習のてびき」を参照させ、説明文の文章の形式としては、はじめに「問いかけ」(話題・題材の提示)があることを確認した。その際、「通読(とおして読む) → 精読(くわしく読む) → 味読」の三読法の授業展開についてふれ、あわせて説明文は事実にもとづいた文章であり、3年生の学年段階では、1年生や2年生のように「同化(そのものに一体化)」して読むことがむずかしくなることも補足し、では、どういう説明文の授業をするのかということで、「初発の感想(どんなことがわかったか、なにがおもしろかったか、不思議だなあとおもったことは何かなどなど)」につぐ授業展開として、どのように詳しく読むのかということで、ふたたび、「ありの行列」を個々人に音読させ、この説明文に関して、どんなことを子どもたちに「質問(一問一答)」や「発問(一問多答、考えさせる問い)」をするのかという課題に取り組ませ、数名に発表をさせ、わたしの方から、この教材文の読みについて、事実として、何がポイントなのかを解説した。その際には、「ありは、ものがよく見えない」ということや、その行列のありようなどについて着目させ、「二番目の観察実験として、なぜ、ウイルソンは、ありの行列の途中に石を置いたのか」ということが、この教材文の勘所(かんどころ)であることを指摘し、ありの種類や生態にかかわって、受講生の問題意識を喚起するようにつとめた。しかし、独善的にわたしが語っていたという感は、ぬぐえない。
 授業のおわりに、次回は、小学生のための説明文教材作成のための要領とともに、4年生の説明文教材をとりあげることを告知した。

第8回 5月28日

 ○教員のスピーチ「今年の梅雨入り」
 ○学生のスピーチ(7)
 ○4年生の説明文の授業❶
 この授業の中間レポートの課題として、子どものための説明文教材(A4横書き、1000字程度)の作成のことで、その期日と要領を以下のように指示した。
  ・中高学年(4年生以上)の児童を念頭におくこと
  ・タイトル、主題文、本文、参考文献・資料の順に書くこと
  ・期日は6月3日の月曜日(午後9時10分、学務のボックスへ)
 その作成例として、昨年度の「涙(涙は人間の健康に欠かせないものである。)」と「ゴリラの生態(ゴリラはこころ優しい動物である。)」の二つの文章を示し、その本文を読み上げながら、その作成要領を説明した。そのあと、4年生以上の説明文教材の題材として、何がとりあげられているのかということで、さきに配布した「説明文とその授業を考える」の後編を資料として提示し、1年生から3年生までの説明文教材についてもふりかえりながら、4年生段階からかなり高度な内容が扱われていることや、どのような角度から現実の事実がとりあげられているのか、その括り出し方(テーマ化、角度の付け方)ということが説明文においては重要であり、説明文がものごとの事理を説いた、「は」の文章であることが眼目であるということについて、資料にもとづきながら解説をした。
 そのあと、耳で聞く説明文ということで、かつて大阪書籍の国語教科書に掲載されていた「夜に鳴くセミ」(佐々木洋、四上)を音声CDで聞かせ、その文章の主題文を考えさせたあと、もう一度、その音声CDを聞かせ、「東京の都心の自然(生物の生態)は、人間の生活のしかた(暮らしぶり)に影響を受けて近年大きく変化している。」という大きな主題を支える内容として、「蟬(セミ)は、わたしたちの生活になじみ深いものである」こと、「セミの数の変化は、地球温暖化や大気中に放たれる熱によって土がかわきがちになっていることによってもたらされたものである」ということや、「夜に鳴くセミの大合唱は、熱によって夜になっても昼間の気温が下がらないこととともに、より大きな原因として人間の生活が生み出した昼間のような明るさによってもたらされたものである」ことが指摘されていることについてふれ、今回のレポート課題では、大きな主題による説明文ではなく、小さな主題による説明文の作成に取り組むように指示をした。  
 次回は、受講生がそれぞれに作成した小学生のための説明文教材を読み合うようにしたいと告知した。

 資料:

指定されたファイルは存在しません。

第9回 6月4日

 ○教員のスピーチ「梅雨入りとホタル」「甘酒は点滴?」
 ○学生のスピーチ(8)
 ○4年生の説明文の授業❷
 説明文は「わたし」を主語としない「は」の文章であり、スピーチは「わたし」の経験や見聞にもとづく随筆であることにふれたあと、受講生ならびに担当教員が、中・高学年(4年生以上)の児童を念頭において作成した「子どものための説明文教材(A4横書き、1000字程度)」を相互に読み合うこととした。
 なお、その際、教材文は作成者の名前を抜いたかたちでコピーし、受講生には、読んだ文章に対して、教材文の余白に短いコメントを書き込ませるようにした。
 授業の終わりには、5年生の説明文教材「森林のおくりもの」(富山和子、東京書籍五下)を配布し、「日本は木の国である」という大きな話は、スギやヒノキなどの材木がそれぞれわたしたちの生活にどのように役立てられているのか、その有用性について、「スギは」「ヒノキは」といった小さな話に支えられて構成されていることについて言及し、このレポート課題では、そうしたコンパクトな「小さな話」を作成することがポイントであり、そういう視点や今回書き込まれた読者からのコメントをもとに自分の文章を推敲し、この講義の成果ないしは財産として、お互いの資産とするために、あらためてPDFファイルのかたちで原稿を提出してほしいと述べた。
 ファイルの提出先は、toshiya@cc.osaka-kyoiku.ac.jpであり、次回は、模擬授業の準備として、5年生教材をもとに学習指導案の作成に向けて進んでいきたいと告知した。

第10回 6月11日

 ○教員のスピーチ「旬のもの」
 ○学生のスピーチ(9)
 ○5年生の授業――「森林のおくりもの」(富山和子)――
 「森林のおくりもの」を教材(学習材)として授業をするとしたら、どういう授業をするか?と問いかけ、時間は2時間(45分×2)で、「ねらい(めあて)」とその展開のあらましを考えるようにさせた。その際し、まずは本文の内容をおさえておく必要があったので、受講生に本文を2度、段落読みをさせた。段落読みを終えたあと、受講生同士でその授業づくりについて話し合わせ、そのことを踏まえて、自分の考える授業の概要をミニレポートとして提出するようにさせた。なお、授業展開は、「導入・展開・終結」を基本とすることについて確認した。

第11回 6月18日

 ○教員のスピーチ「虹の色」
 ○学生のスピーチ(10)
 ○5年生の授業――「森林のおくりもの」(富山和子)――
 はじめに、学習指導案を作成するにあたっては、「児童観」を記述していく必要があり、模擬授業では、その記述がむずかしいので、次回の模擬授業では、「あとかくしの雪」(木下順二)を題材として、受講生の学生を対象にした授業に率先的に取り組んでほしいとして、その教材文を配布し、その案内をおこなった。
 そのあと、「森林のおくりもの」の導入の部分を授業してみたいと希望してくれた学生がいたので、その学生に、「森林のおくりもの」とは、どのようなものか、そのイメージやその内容を考える授業の導入部分を15分程度実演してもらった。そのあと、前回の授業で課題とした「森林のおくりもの」の授業案の具体としてOHCを使って受講生の提出したものからポイントのあるものを添付されたワークシートも含め、5点ほど紹介した。そのあと、今回の「読むこと」の授業においては、何のために読むのか、その「ために」ということがきわめて大切であるということを指摘した。また、その「ねらい(めあて)」として、「内容的目標」「技能的目標」「言語的目標」の別があり、往々にして現場の授業は、この三つをすべて盛り込んだものが多く、コンパクトな授業をするには、どれかに目標をしぼり展開していくことが重要であると指摘した。また、多くの授業は、教材そのものを読むことに目的化した「教材主義」の授業になりがちであることも指摘した。
 そこで、コンパクトにした授業の具体例として、昨年夏に大阪府内の公立小学校の研修会で、在籍の教員を対象におこなった「わらぐつの中の神様」の学習指導案を提示し、その授業づくりの方法とそのあらましについてフリップなどを使いながら解説した。

第12回 6月25日

 ○課題レポートとテストの概要
 ○教員のスピーチ「夏至を過ぎて」
 ○受講生による「あとかくしの雪」(木下順二)の模擬授業
 はじめに、課題レポートとテストについて、つぎのことを提示した。
   ・課題レポート❶ 小学生のための説明文教材ー「こと」を主題として
  ・課題レポート❷ 現行の小学校の国語教科書を読んで、その問題点として考えたことを指摘し、その改善のための方策について論述すること。
  ・テスト(7月23日) 書字と学習指導要領(国語科)のこと
 そのあと、教員のスピーチとして、「夏至」という日の意味として、夏至の日を過ぎると、1日1日、昼の時間が短くなっていくから、五十歳を過ぎた自分としては、夏至を過ぎるともの悲しく感じられてならないという話をした。
 本時のメインとしては、「神様になって物語の場面を想像し、作品を読解してみよう」という趣旨の受講生による模擬授業(45分)が実践された。そのあと、その授業の「よい点」と「改善点」を2つずつ指摘させた。
 なお、来週と再来週(7月2日と7月9日)は、実地指導講師の増田俊昭先生の授業になることを告知した。

第13回(7月2日)第14回(7月9日)

 ○増田俊昭先生の特別講義――書くこととつづりかた教育。

第15回 7月24日

 ○教員のスピーチ「大暑」
 ○学習指導要領と書字力に関するテスト
 ○日本の国語教育と国語教科書 
 ○授業評価アンケート

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